並行世界同士の生き残りをかけて

ノエイン もうひとりの君へから見る、並行世界について知る

生き残るため

この作品においてもパラレルワールドがテーマとなっているが、無限にある可能性が広がる地球同士が戦い、それぞれがそれぞれの地球の命運をかけて戦いを繰り広げることになる、これが関係していた。その真実を知ることで、少年たちは戦いから逃げることも出来ず、死ぬ事を覚悟して戦いへと望まなければならない状況だったのです。だが例え戦って勝ったとしても、負けた方の地球は宇宙から存在そのものが消滅する。避けることの出来ない運命、避けられない真実から逃げ隠れすることも叶わない状況下で、真実を知らないまま死んでいった他の仲間達は、自分について考え始める。

各々が家族と関係を思い出す、遺恨があった者、それぞれがやり残したことがないよう、悔いのない人生を生きようと決意する姿が表現されている。唐突に巻き込まれた運命、それもパラレルワールドの自分たちと変わらない年齢のパイロットとの戦いは激化していく中で、知ることになる地球を掛けた戦いという仕組み、パラレルワールドを主題にしている作品としてはノエインと何処か似ている部分があると言えるでしょう。

異なる部分があるとするなら、自分たちの世界を助けるためなら例え他の世界がどうなっても構わないと思うか否かだ。『ぼくらの』では例え他の地球を滅ぼしても自分たちの地球を守るのに対して、ノエインでは全ての可能性である世界を守ることで物語は集結している。前者の作品、とんでもなく重たすぎるわけだが、最初から最後まで見終わった後にはとんでもなく疲れたことが一番記憶に残っている。無論命に対するメッセージ性などの、作品で展開されていく少年たちの生き様には何処か共感すら覚えた作品でもある。もう一度見たいと言われると返答に困る作品なのだが、それを象徴するのが今作の結末が関係していたりする。

夢も希望もない結末ではあるが・・

原作とアニメの違い

今作は漫画原作となっていますが、原作とアニメでは物語の結末は実は異なっている。ただ正直この作品の原作漫画の結末に関しては、見る分にはある程度覚悟して読んで欲しいと一言付け加えておく。ネタバレにもなりますが、原作とアニメでは物語がどう決着付くのかはまるで違っていた。アニメの方では全ての宿命を断ち切るため、最後に生き残ったこの物語で核となっている『宇白ジュン』が、最後の戦いに勝利してロボットを解体することで、戦いに終止符を付けている。そして生き残った彼の妹は戦いで命を散らしていった仲間たちのことを伝えていくために生きる戦いへと投じていくことで、物語に一抹の希望を残している。

対して原作漫画は、最後に待っているのは夢も希望もなければ、こうするしかなかったのかという選択肢をジュンが取っているのです。同じく最後の戦いまで生き残り、最後のパイロットとして戦場へと出ることになった。辛うじて勝利を収めるが、隙を見せてしまったがゆえに敵パイロット全員を逃がしてしまう。勝ち残るために敵パイロットを全滅させなければならず、それも時間制限も掛けられているため、猶予は残されていなかった。

そこで彼の取った手段、それは戦場でもあった敵地の地球にいる人類全てを虐殺するという方法を選択するのです。逃げ惑う人々、巨大ロボットの侵略とは呼べない破壊行動に抗う術もなく、ジュンにすれば敵性地球の人々は無慙にも殺されていった。敵が何処に逃げたかわからない以上、地球上に存在する人間全てを殺さなければならなかった。それは攻撃の手を緩めることをせず、命という命を全て灰燼と化すまで止められることはない。

殺している張本人であるジュンも、その事実に耐え切れずに嘔吐する。しかし残された地球にいるもう一人の妹、彼女を守るためにはこうするしかないんだと彼は止まることはしなかった。そしてジュンたち少年たちの戦いは幕引きとなり、次なる少年たちへと引き継がれていく事になっていく。

破壊の神そのもの

原作漫画の結末は上記のようになっているが、見た人の感想をまとめてみるとその結果に対して後味こそ悪いがすっきりとした結末だと述べている。矛盾しているようにも見えるが、これは最後のジュンが敵地球を破壊するときの行動にも関係しているといえる。ジュンにすれば、出来れば被害を出したくはないと思っていた、けれどその期待も届かないまま戦いを終わらせるためには決断をしなければならない。それまでただの少年だったジュンにすれば、異なる世界とはいえ人殺しを、それこそ存在する命全てを焼き払わなければならないなど決断できるものではなかった。

だがそうしなければ自分が守りたいものを守れない、けれどこれから自分のすることは誰に許されるものではない、それらをきちんと認識した上でジュンは最後の手段に出る。そこには選択することの覚悟があり、自分の罪を受け入れて最後までなさなければならない事を成そうとする、そんな様子さえ感じられた。どんな作品にも決まってエンディングは存在していますが、この『ぼくらの』という作品は近年稀に見るとはよく言った、まさに『夢も希望もない結末』となっている。

壮絶な最期を迎えたが

『ぼくらの』という作品を、前述のノエインとまどマギと比較すれば分かるが全くといっていいくらい作品の世界がそれぞれ違っている。同じパラレルワールドを題材にしながら、ノエインは全ての結末が好転したのに対して、まどマギは行き着いた先で出した結論は己が望みを叶えるために叛逆している。ぼくらの ではパラレルワールドの地球同士の戦いで、死を覚悟しながら最期まで生きることに必死になる少年たちの生き様が描かれている。夢も希望もないため、誰かにオススメしたいとは言いがたい作品となっていますが、作品に秘められた命に対するやり取りの重要性、そしてそれらを守る少年たちの生き様は考えさせられる部分が大きい。

後世に伝えたい作品とは言いがたいが、ある意味生きることに迷った時には呼んでみても良いかもしれない作品となっている。