最良の結末がないかもしれない

ノエイン もうひとりの君へから見る、並行世界について知る

魔法少女まどか☆マギカ、暁美ほむらの場合

パラレルワールド、その中でも時間逆行をして自分が望む結末を見つけようとする行いをしている作品で、ここ数年一番印象深いのは何と言っても『魔法少女まどか☆マギカ』に登場する主要人物の1人、『暁美ほむら』が忘れられない。物語にしてもまさかの魔法少女が全ての悪を生み出している、希望と絶望の二面性には多くの人が関心を奪われた。放送当時、東日本大震災が発生して最終回までの残り3話がされず、このまま打ち切りになってしまうのかと危ぶまれたものの、多くの声が集まって全話無事に地上波での放送をすることになる。

その当時リアルタイムで筆者も見ていた1人だが、その残り話数にはこれまで物語の中核にいながら目的が定かではなかった1人の少女『暁美ほむら』の目的が明らかになる話でもあった。そこで語られる彼女の目的とは、これまで何度となく時間遡行を繰り返してきた魔法少女であることが判明する。そして彼女の目的はいずれ来るであろう未来で死んでしまうたった一人の友達の『鹿目まどか』を救うことが、彼女の求める願いだった。

そのために魔法少女となり、あるであろう可能性にかけてほむらはもう一度初めから過ごしたやり直そうとするが、彼女に待っていたのは幾重にも立ちはだかる巨大な障壁だったのです。

パラレルワールドにある絶望

希望の裏にある深い絶望

最初の時間遡行で、念願の魔法少女として活動するほむらは順当にまどかともう一度友人として順調に関係を育んでいく。そして訪れた約束の時、災悪を退けたがそこでほむらは知ることになる。これまで戦ってきた敵である魔女は自分たちと同じ魔法少女であり、そして自身の大事なまどかが魔女として生まれ変わってしまう最悪の結末を迎えてしまう。

その反動でもう一度時間を戻り、自分たちが今まで騙されていた事実を伝えようと皆に働きかけるが、誰にもその声は届かなかった。挙句、自分が何かを企んでいるとまで言われる始末で聞く耳を持たれなかった。ただこの時のほむらの行動が事実であったことを後に全ての魔法少女が直面し、ほむらたちにとって先輩に当たる『巴マミ』が自身を含めて全員を殺そうと錯乱する。辛うじてまどかに救われたほむらだったが、待っていたのはやはり友人を助けられなかった無力な自分だった。

もう一度過去に戻る直前、魔女になりかけたまどかはほむらに自分を助けてくれと懇願する。そしてその願いを叶えるため、ほむらは何度繰り返すことになっても必ず守ると誓い、彼女の長過ぎる旅が始まった。

誰にも頼らない

ほむらの旅が幕を開けた瞬間、もう誰にも頼ること無く、まどかを自分一人で助けることに動き出す。これまでの弱い自分を変え、容姿を変えてほむらは全力で魔女を撃破していく。そこには情け容赦もなく、別の時間軸では共に戦ったはずの魔法少女たちと刃を向けることも厭わなくなる。ほむらの目指す先にある、まどかを救うという願いを叶えるために彼女は尽力していった。何度失敗しても繰り返し、自分が望む結末を求めて旅を続けていたほむらだったが、そのことが逆にまどかをより危険な状況に追い込んでいったことを知ることとなる。

この作品最大のダークホースである『キュウべぇ』、彼はほむらの時間遡行がキッカケでまどかの魔法少女としての潜在能力を高めることになったと指摘した。それは彼女にとって予期しなかった事態であり、同時に彼女を徐々に絶望へと追い込んでいく材料となっていく。

時間遡行をした先に

この瞬間、時間遡行して可能性を探り自分が望む結末は何処にあるのかと模索した際の欠点といえる。ほむらの場合、時間遡行を繰り返す度、その中心には常に鹿目まどかという存在があった。それが帰って、彼女の数多ある可能性という因果が絡まってしまい、それによって本来何の変哲もない少女がとてつもない素質を持つ魔法少女へと作っていってしまった。可能性を求めるあまり、時間遡行することによる副作用を勘定に入れていなかったほむらのミスといえるだろう。

だがそんなことを彼女は知るはずもなく、また知りもしなかった。それこそ目的に邁進するが故に状況がより悪化していく姿など、彼女には見えていなかった。まどかを助ける、ただただそれだけのためにほむらは時間遡行を繰り返していった。

迎えた終焉の先に

そんなほむらの旅も終焉を迎えることになる、それはあらゆる因果を絡めたまどかが自身が神となり、全ての絶望から魔法少女を救う概念となる道を選んだからだ。それはほむらの望んだ結末ではなく、これから先生きることも死ぬことも許されない、ただただ絶望と戦い続ける宿命を背負い続けるまどかを憂いた。

だがまどか自身、それを自分が望んだこととして受け入れ、いずれ来る再会までほむらと暫しの別れをする事になる。ただこの時まどかは知る由もなかった、暁美ほむらという少女は辿り着いた結果を受け入れず、いつか来るであろう運命の日を待ち続けていたと、そう感じさせる結末が待っていたのです。